青少年に「地域の恩」を実感させる活動を推し進めましょう。
宇土市地域婦人会「青少年の健全育成」研修会
宇土市福祉会館
平成27年1月31日


 おはようございます。ただいまご紹介いただきました中川です。よろしくお願いします。
1昨日、会長さんから「30日の研修会ではお世話になります。」との電話がありました。これまでいろんな所でお話をさせていただいていますが、団体の会長さんから「よろしくお願いします」と電話がありましたのは初めてです。このような心配りをされる会長さんとともに活動していらっしゃる宇土市地域婦人会の活動は、とてもすばらしいことだろうと期待して参りました。期待に違わないというと失礼ではございますが、お三方が青少年の健全育成に関するすばらしい実践を発表されされました。婦人会員の方、子どもたちが輝いていました。感服しています。
 発表をお聞きしながら、「次郎物語」の作者、下村湖人の「白鳥、蘆花に入る」という言葉を思い出しました。下村湖人は、若い頃、青年団活動をしていたそうです。次郎物語の中で、朝倉先生は、次郎達に「白鳥蘆花に入る」と言う言葉を教えます。真っ白な鳥が真っ白な芦原の中に舞い降りると、その姿は見えなくなります。しかし、その羽風のために、今まで眠っていた芦原が一面にそよぎ出すと言う意味です。村おこし活動の在り方で次のように説明しています。若い人たちが熱心に村の将来のことを研究し、生活の調和と革新を図るために、意見を出し合い、計画を定め、その実現を誓い合いますが、それをみんなに発表するようなことはしないで、自ら率先して活動を行っていくうちに、いつのまにか村の気風が改まると説いています。ただいまご発表になった青少年の健全育成にかかる活動は、まさに婦人会の皆様が率先して活動され、それが地域へも広がっています。子ども達も笑顔で清掃活動などに取り組んでいます。
 また、県地域婦人会会長さんのご挨拶の中で、「婦人会入会を誘おうと思っても自分たちが率先してボランティア活動をしていかなければ誘うことは出来ない」とおっしゃいました。まさに「白鳥蘆花に入る」そのものと思います。また、「ボランティアを率先遂行する」という言葉から島津日新齊の言葉を思い出しました。
 鹿児島島津藩の中興の祖と言われています島津日新斎は、「いろは歌」を表しています。このいろは歌は、島津藩武士の行動指針となったものと言われています。「い」で始まる最初の歌が、「古の 道を聞いても 唱えても 我が行いに せずば甲斐なし」という歌です。これは、「昔の人の教えや学問をいくら学んでも、学んだことを自分で実行しなければ何にもならない」と言う意味です。「実行」、これがボランティアです。会長さんは、まさに日新公の教えをおっしゃいました。
 余談ですが、このいろは歌47首すべてが、鹿児島県南さつま市の竹田神社の境内に立っている石碑に刻まれています。鹿児島県に旅行されるとき、少し足を伸ばして、南さつま市まで行かれると竹田神社があります。町村合併以前は、加世田市と言っていたところす。そして、市の教育委員会に行かれますと、いろは歌47首を表した和歌集がもらえると思います。
 宇土市地域婦人会では、青少年の健全育成に取り組んでおられます。宇土市では心豊かな子どもが育っています。
 が、目を世界に転じますと、イスラム過激派組織いわゆる「イスラム国」が後藤健二さんを誘拐し、最初は身代金を要求し、今ではヨルダンに収監されている人質を釈放するよう求めています。日本を初め世界中の人々を恐怖と不安に追い込んでいます。人質の後藤さんが1日も早く解放されることを願っています。新聞、テレビなどのマスコミ報道によりますと、世界のあちこちの若者が「イスラム国」の戦闘員に志願していると報道しています。日本からも数名が志願したと報道があったことは皆さんもご記憶にあると思います。
 私は、世界の若者が戦闘員に志願していると言うことを聞いたとき、もう20年前になりますか、地下鉄サリン事件を起こしたオーム真理教に、当時大学生達が幾人も入信した心理状況に通じるものがあるように思えます。自分の将来に対する夢や希望が描けなくて、自暴自棄になり、戦闘員になる、信者になる、このような気持ちを前途有為な青少年に起こさせてはならないと思います。そのためにも、地域の宝である地域の子を地域で育て、心豊かでふるさとを愛する人間に育てることが大切だと思います。宇土市地域婦人会の方々がその先頭に立っておられますことに敬意を表します。
 「地域の教育力」とはよく口にする言葉ですが、以前は、このようなことは意識せずとも地域社会全体が子育てに当たっていたように思います。私は、熊本市の秋津町で生まれ育ちました。小さい頃、弟や近所の子とけんかしたり、悪さをしたりすると、父の名前は「有(たもつ)」と言いますが、「そぎゃんこつすると、有っちゃんの泣かすぞ!」と言って叱られたり、注意されたりしていました。私ばかりではありません。誰もが叱られたり注意されたりしていたので、とんでもない悪さはしませんでした。また、道路に落ちている木ぎれを拾ったり、泣いている小さい子の世話をしたりしていると、祖父の名前は「幸平」と言いました、「おっ、あんたは幸平しゃんの孫だろう。じいちゃんの喜ばすばい!」などと褒められていました。今は、関わって嫌がられるより見て見ぬふりをしておこうの考えが広まってきました。これでは、地域の子は地域で育てるにはなりません。朝のあいさつを大人からする、これ一つでも地域の子は地域で育てることです。苓北町の坂瀬川小学校では、「5あいさつ運動」をしています。「5人そろって、地域の人や子どもたちにあいさつをしましょう」という運動です。
 先ほど、○○さんが「青少年の健全育成活動」の様子を写真を交えて発表されました。コミュニティ・スクールや放課後子ども教室、学校支援地域本部事業、通学合宿などの活動で、婦人会の方のご指導で子どもたちは生き生きと活動していました。会長さんの言葉の中に、「宇土市地域婦人会は地域の母」というのがありました。これはまさに地域の子は地域で育てる気持ちを表した言葉だと思います。
 昨年、走潟小学校の校長先生から、走潟小学校の通学合宿の様子をお聞きしたことがありました。「公民館での合宿期間中は、先生も保護者も来ないで欲しい、子どもたちの面倒は地域で見ますと言われます。婦人会、公民館、区長会、消防団などが一体となって通学合宿を運営しておられます」と聞きました。また、「私は高齢で加勢はできない。風呂でも提供したい。」と申し出があり、合宿区間中、子どもたちはもらい風呂をしているとも聞きました。今は、どこの家でも毎晩風呂を沸かして入りますが、私が小さい頃は隣近所でもらい風呂をしていました。私の家の周辺では、「風呂を沸かす」ではなく、「風呂をたてる」と言っていました。「今夜はうちで風呂をたてるけんはいりにおいで!」と言っていました。もらい風呂して、そこの家族との触れ合いがありました。
 通学合宿の終わりには、地域の方にいろいろと教えていただいてそのうれしさからでしょう。別れがつらくて、泣いている子もいたようです。まさに子どもたちは、「地域の恩」を実感したのでしょう。私が本日の演題に「青少年に「地域の恩」を実感させる活動を推し進めましょう」としたのはこのような活動を推し進めましょうということです。宇土市地域婦人会でこのようにすばらしい活動をされていますことに敬意を表します。
 皆さんのボランティア活動が、子どもたちの生き方のモデルとなっています。網田小学校を訪問したときのことです。校長室はしっとりとして、とてもきれいです。会議用の長机の上には、一輪ざしの花瓶に花が生けてあります。教頭先生に、「これは地域の方が生けられるのですか?」と聞きますと、「いいえ、子どもたちが登校途中で花を摘んできたり、校庭の花を摘んだりして生けているのです。」とおっしゃいました。そして「うちの学校では、子どもたちに「そうじをしなさい」と指導することはありません。子どもたちは1年生の時からボランティアの方の姿を見て育っています。ボランティアは当たり前、そうじをするのは当たり前のことと思っています。」とおっしゃいました。また、12月4日、御船町の七滝中央小学校で御船版コミュニティ・スクールの実践発表会がありました。授業には地域の方もお手伝いをしておられました。その方の話です。6年生の子が、「僕は野菜が嫌いでした。でも七滝の人が作ったなすびはおいしい。これからはなすびをたくさん食べて、野菜が好きになりたいと思います。」と言ったと話されました。学校周辺は高冷地野菜の栽培が盛んです。このように、皆さんの活動が青少年に生きる夢や希望を与えているのです。冒頭述べました、自分の将来に夢や希望が持てないで過激派集団「イスラム国」の戦闘員になるなど考えられません。
 青少年期の特質について少し触れておきます。青少年期とは、私たちが通ってきた道ですので皆さんよくご存じのことですが、物の本に書かれています特質を読んでみますね。
 「青少年期は、好奇心にあふれ、希望に満ち、失敗や挫折を繰り返しつつもそれらに屈することなく前向きに挑戦し続け、試行錯誤の中で意欲を持って自立した社会人の基礎となる素養や力量を培う時期」とあります。青少年期を疾風怒濤の時代と言い表すこともあります。今読みましたように大多数の子どもたちは、将来の夢を抱き、分からないことをもっと知りたいという意欲を持ち、スポーツや芸術など多様な趣味に打ち込んでいます。そして、友達や家族、地域の大人たちとの人間関係を大切にしながら物事に対して意欲的に取り組んでいます。
 ところが、意欲を持てない青少年が増加していることも事実です。学習意欲や就労・勤労意欲の低い青少年、成長の糧となる様々な試行錯誤に取り組もうとする意欲が減退している青少年がいます。
 このような青少年の増加は、青少年ばかりに問題があるのではないと思います。私たち大人にも責任があるようです。青少年が夢や希望を持てる社会ができているかを反省することも必要だと思います。また、現代の青少年は文明が発達して生活環境が改善され、ある程度快適な生活が可能な豊かさに満足しているところもあるのではないでしょうか。
 市長さんがご挨拶の中で、「今、インフルエンザが大流行しています。このインフルエンザを流行させているウイルスは夏でも活動するそうです。しかし、温度が20度以上、湿度が50%以上だったら感染力が弱いと言うことです。室内環境を調節してインフルエンザに罹らないような生活をしてください。」とおっしゃいました。今は、このように室内の温度や湿度を調整することができます。昔はこんなことはできませんでした。寒い夜は、丹前を着て、火鉢の周りに家族が身体を寄せ合って暖をとりました。私の家では、時には、祖母が「いっぷくてんぷくば、しようかい」と言って指を丸めて、火鉢のうえにかざし、「いっぷく、てんぷく、てんだいもんの おとひめが・・・・」と言ってみんなで時を過ごしました。寒かったのですが心は温かかったです。また、どんなに寒くとも、冷たい布団に入らなければなりませんでした。祖父母には湯たんぽがありましたが私たちにはありません。今は、電気毛布があります。私の家では、寝る1時間ほど前にスイッチを入れておきます。暖かい布団で寝ることができます。このように今では、ほとんどの家である程度快適な暮らしができます。満足手来ています。このような社会は、向上心やチャレンジ精神を育みにくい環境にあります。
 皆さんは、「大人になりたくない症候群」という言葉を聞いたことはありませんか。大人になりたくないと思う青少年が案外多いそうです。私は小さい頃、早く大人になりたくて仕方がなかったのですが。皆さんはどうでしたか?大人になれば自分の責任で何でもできる、あれもしたい、これもしたいと思っていました。女性の皆様の前で言っていいかどうか迷っているのですが、・・・・・。ここまで言ったのですから言いますね。以前、私たち子どもは、パンツをはいていました。当時は、パンツとは言わないで「さるまた」と言っていました。大人は、「へこ」をしていました。私は、早く「へこ」をしめられる大人になりたいと思っていました。あるとき、父に隠れて、父の「へこ」をしめてみました。ただそれだけで、急に大人になったような思いがして誇らしくなったことを覚えています。益々、早く大人になりたいと思ったものでした。
 今の青少年が21世紀を背負っていくのです。青少年には、夢と希望を持って我が国をもっと豊かな国にしてもらわねばなりません。その担い手である青少年には意欲を持って生活して欲しいと思います。その意欲や将来の夢をを持たせるのが私たち大人の責任であると思います。
 宇城市のある地区の子供会長さんの話を聞いたことがあります。その地区に、わけあって親元を離れて、祖父母のところで生活している中学生がいたそうです。その子は、生活が荒れていて、学校でも地域でもいたずらはする、悪さをするで、いわゆる「悪ごろ」と思われていたそうです。その子を育成会長さんは、子供会がある度に誘っていたそうです。育成会員の中には、「あぎゃん悪ごろは、子供会に誘わないでもよかろうに」という声もあったそうですが、「あの子は、学校でも地域でも悪ごろと言われて嫌われている。だから、子供会で育てていきましょう。」と、毎回子供会に参加させていたそうです。その中学生が中学校を卒業して、しばらくして育成会長さんのところに手紙をくれたそうです。「学校でも地域でも悪ごろと言われた僕が、どうにか中学校を卒業して就職できたのも会長さんが僕を子供会に誘ってくれていたから。僕が子供会で一番楽しかったのは、夏の海水浴でのスイカ割り。今年もスイカ割りがあるだろう。その足しにしてください。」と書かれた手紙に数千円を添えて送ってくれたそうです。まさにこの中学生は、会長さんを通して「地域の恩」を感じたのですね。地域の恩を感じることで、感謝の心が生まれます。地域のすばらしさを感じます。自分が生まれ育った地域を誇りに思う心が生まれてきます。これが地域を愛する心につながります。
 「人は、家庭で育ち、学校で学び、地域で伸びる」、これは私の持論です。
 家庭は、私が今さら申すまでもなく、あらゆる教育の原点です。人づくりの基本です。昔から、「ものを盗むな。うそをつくな。無益な殺生はするな。」が家庭教育の原則でした。私はこれに「五感を育め」を付け加え、家庭教育に関する講話で訴えています。「五感を育め」は、室内でテレビなどを見てではなく、外で活動して、いろんな体験をして、いろいろな人と触れあっての五感を育むことです。これによって、感性が豊かになります。心が育ちます。おもいやりが育ちます。お孫さんや、近所の子どもさん、子ども教室などで触れあう子どもたちに是非伝えてください。
学校は、「生きる力」を育みます。社会人として生きる力を育みます。学力の基礎・基本を確実に身に付けさせます。生涯に亘って学習する意欲や態度を身につけさせます。他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力を身につけさせます。しかし、これらは、学校の中だけでは身につけさせることはできません。そこで、今中学校では、職場体験であったり、福祉体験であったり、保育体験であったり、地域の中で諸々の体験活動をしています。地域は、支え合い、助け合い、つながり合う力を育む場です。そこで、地域の教育力が求められているのです。その教育力を活性化させる役割を皆さん方が担い、先程来ご発表があった青少年健全育成活動等をはじめとしていろいろな活動を展開して地域の教育力を高めていらっしゃいます。
 子どもたちが「地域の恩」を実感し、ここに生まれ育ったことを誇りに思う地域づくりの先頭に立たれ、宇土市の地域婦人会活動が益々充実しますとともに、宇土市の子どもたちが、地域の恩を実感し、心豊かで、ふるさと宇土を誇りに思う人に育ちますことを祈念して話を終わります。
ご静聴ありがとうございました。